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虫の声が鳴り響く夏の夜。
「はぁ…」
「ため息なんかつくなよー!!」
「あぁ、ごめん。つい出た。」
「蒼には悪いと思ってるって!!今度のごみ捨て、お前の番だけど俺が行くから!!」
溜め息をついた葉山 蒼(はやま あおい)と、それを慰めるのは糸田 直樹(いとだ なおき)。
二人は中学からの友人で、同じ大学だ。
実家から通える距離ではないのだが、お互いにお金がない、という理由からルームシェアしている。
では、なぜこんな夏の夜にテンションの違いがある二人が並んで歩いているのか。
「いいよ、そんなの。あー…合コンとかマジ苦手……」
そう、二人はこれから合コンに行くのだ。
どうやら、蒼は合コンが苦手らしく、今回ムリヤリ連れてこられたらしい。
「お前、女子にあんま興味なさげだもんなー。そのくせしてモテやがるかんなー。まったく!!」
ダルそうな蒼を横目に、直樹は少しウキウキした様子だ。
「別にモテねーよ。人見知りの俺からしたら、あんな辛い会合なんてありえねー。」
「そうか?でも、可愛い子といい感じになると楽しいじゃん!!せっかく大学生なんだからさあ、もっと楽しまなきゃ損だって!!」
直樹は少々チャラ男の要素があるようだ。
今が楽しければいい、先のことはなんとかなる。
と言った感じで、今まで何人もの女性と付き合ってきた。
だが、毎回毎回付き合ってはみるものの、本気で好きになれず、それでは相手に申し訳ないからと言って別れる。
チャラ男なのか、真面目なのかよく分からない男なのである。
優しいし、色んな面で見ても"いいやつ"なので、逆恨みとかは一度もなかったみたいだ。
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