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早く食べたくて仕方なかった2人は、ウズウズしていたが、少し強面の良幸には何も言うことができず、箸も元の場所に戻して、良幸がヨシというまで手を付けてはならないと思ったのだ。
良幸は2人の前に小鉢を差し出した。
「これはウチの店からのサービスだ。今仕込んでた肉じゃががちょうど出来たところでな。よかったら食べてくれ。」
「いいんですか?!」
「どうぞ。お前らが初めて肉じゃが出したお客さんだ。感想聞かせてくれ!!」
感想を求められようが、実験台だろうが、空腹の2人には有難いに越したことはなかった。
「いただきます!!」
2人は声を合わせて合唱し、出来たての料理を口に運んだ。
開店してから1週間、1度も客から具体的な感想をもらえなかった良幸は、今度こそは!!と2人をまじまじと見つめていた。
「やっべ!!すんげー上手いっす!」
「肉じゃが、母ちゃんが作ってくれたやつみたい!!」
「味噌汁も美味い。なんか、おふくろの味って感じだな!!」
2人は箸を止めることなく、また、米粒一粒残すことなく食べてしまった。
一方で良幸は、2人の感想が嬉しいのと、もの凄い食べっぷりに言葉が出てこなかった。
外装もそうなのだが、良幸はこの店のテーマを「懐かしきおふくろの味」としている。
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