全くあいつはしょうもない奴でありまして……

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全くあいつはしょうもない奴でありまして……

朝。 『あれ』 を考えながら支度をする。 (『あれ』とはあれだ。朝に考える『あれ』だ) 家を出るが、弁当忘れに気づき戻る。 ただただ眠い。 弁当をとった後、のたのたと半分寝たまま家を出る。 家の外には出したままの自転車がおいてある。まぁ普通の通学自転車……ではない。ロードバイクとか呼ばれるあれだ。速いやつだ。真っ黒でハンドルがUの字に曲がっている。お気に入りの自転車なのだが…… こうも天気が悪いと乗り気にならない。 曇天。湿気90%。向かい風5メートル。 おまけに学校まで15キロ程あるときた。 正直萎える。 しかし学校に行かないという訳にもいかず、重々しい体を動かした。 (いやいや、そんな太ってるとかじゃなく、もののたとえでありまして……) だんだんと学校に行く気が失せてきた、半分くらい来たところで雨が降り始めた。 本当にいきなりでビックリするくらい降る。 上から下からたくさんの水滴が飛んでくる。ロードバイクであるからして、泥除けなんてものはない。 嫌々学校まで自転車をこいだ。 学校近辺に来たときには、雨などどうでもいいくらいに濡れていた。全身水浸しで学園生活すらままならない状態だった。 どうしようか…… サボっちまおう。 さぼると決めるとずいぶんと体が軽くなった。どうせだから、いつも行かないところにいこうと思った。 遠くに聞こえるパトカーの音、 遠くに見える大きい建物、 全部全部追いかけた。 この日、学校では学べない新しいものを感じた。
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