着信履歴

9/11
83人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ
麻美は僕を引っ張り加減で歩き出した。 「いいけど……あっ、あそこは全席禁煙だろ? 煙草を喫える処がいいな」 これだけは希望を通して欲しくて、はっきりと伝えた。 「いいわよ。それならダイニングバー・トレータにしましょ。歩いても10分で行けるから。あそこならオープン個室もあるし。予約が取れればだけど……そうだ。キャンセルの連絡を入れておかなくちゃ」 麻美は立ち止まり、組んでいた腕をほどいてスマホを手に取った。 彼女が電話をかけている間は煙草を吹かせる。 麻美の良いところは、煙草を止めよと言わないところだ。 美貌やスタイルは良いに越した事はないが、それは交際の決め手にはならない。 彼女と交際しようと思った本当の理由は、おおらかな性格で、僕の嗜好を認めてくれるからなのだ。
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!