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麻美は僕を引っ張り加減で歩き出した。
「いいけど……あっ、あそこは全席禁煙だろ? 煙草を喫える処がいいな」
これだけは希望を通して欲しくて、はっきりと伝えた。
「いいわよ。それならダイニングバー・トレータにしましょ。歩いても10分で行けるから。あそこならオープン個室もあるし。予約が取れればだけど……そうだ。キャンセルの連絡を入れておかなくちゃ」
麻美は立ち止まり、組んでいた腕をほどいてスマホを手に取った。
彼女が電話をかけている間は煙草を吹かせる。
麻美の良いところは、煙草を止めよと言わないところだ。
美貌やスタイルは良いに越した事はないが、それは交際の決め手にはならない。
彼女と交際しようと思った本当の理由は、おおらかな性格で、僕の嗜好を認めてくれるからなのだ。
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