夏日

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待ち合わせの喫茶店【月のソナタ】は駅の東口を出て、すぐのところに在った。 携帯を開いて時刻を確かめると18時20分だった。店へ入ろうとすると、背後から声があった。 「こうちゃん。こっちこっち」 麻美が胸のところで小さく手を振りながら可愛いらしく微笑んでいる。 いつでも溌剌として、いい女なのだ。 街中で僕等を見かけたという会社の後輩が『女優さんかと思いました』と漏らしたほどだ。 半分は、お世辞だとしても、容姿は確かに悪くない。 笑顔がいい。翳りのない表情と歯切れの良い話し方も魅力的だ。その上、スタイルがいい。 細身だがウエストがキュッと括れて腰がパンッと張っている。この女性らしいラインに男は魅きつけられるのだ。会うたび僕は少し誇らしい気持ちになる。 「今日は、ちゃんと時間通りに来たわね。えらいね」 麻美は二歳、年下なのに、そんな話し方をする。 「うん」 僕は麻美の機嫌を損ねまいと、余計な事を言わないように気をつけながら短く応えた。
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