夏日

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僕がメニューを見ながら迷っていると 「いらっしゃいませ。待ち合わせなら、注文は後でもいいんですよ?」 女主人が水とおしぼりを置きながら言ってくれた。 「ええ、そうなんです。じゃあ、そうします」 僕は、煙草を取り出してテーブルに置いた。 「はい。ごゆっくりどうぞ」 女主人はにっこりしながら、そう言うとカウンターに戻った。初老の男性客と楽しそうに話している。 四十前後というところか? 大人の女性の貫禄というものだろう。落ち着いた所作と話しぶりに安心する。 メガネを外して、おしぼりで顔を拭き、煙草を手に取った時だった。 店のドアが開き、若い女性が入って来た。
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