夏日

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「早速なんですけど……」 貴恵さんはバッグの中から或る物を取り出してテーブルに置いた。 「これは?」 僕は、それを手に取って、眼を凝らした。 「鍵ですね」 「ええ。それと、これです」 彼女がテーブルに置いたのは携帯電話だった。 その携帯には見覚えがあった。 清田と幾度か居酒屋で酌み交わした時に、見かけていたからだ。 「いらっしゃいませ。ご注文が決まったら、声を掛けて下さい」 女主人が、貴恵さんの前に水の入ったグラスと、おしぼりを置いた。 「じゃあ、先に僕のだけでも」 メニューを開いて目についた物を指で差した。 「このアイスコーヒーフロートをお願いします」
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