着信履歴

3/11
前へ
/128ページ
次へ
「そうなんです。そこが解らなくて……あの、こんなこと高村さんに伺うのもどうかと思うんですけど……」 「なんでもどうぞ」 僕は灰皿を横へ押しやって飲み物のグラスを手元へ引き寄せた。 「兄はサークルのどなたかと交際中ではなかったでしょうか?」 「サークルの誰かと? 女性と付き合っていたかと言う事ですか?」 「はい」 「うーん。サークル内で、それらしい行動を見かけたことはなかったなあ。彼とは何度か飲みましたが、居酒屋でもそんな話題は出なかったですね。いや、僕は去年の年末頃から時々にしか参加出来なくなりましてね。だから今年の事は良く解らないというのが正直なところです」 「そうですか……」 貴恵さんは当てが外れて、少しがっかりしたようだった。 「でも、何故そう思うんです?」 「着信履歴です。これですけど」 そう言って貴恵さんは携帯を手にとって開いた。
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

83人が本棚に入れています
本棚に追加