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「この最後の着信の前に、兄は同じ番号の方へ電話をかけています。これが最後の発信です。兄が事故死する二日前です」
「その番号にかけて、相手が誰なのかを確かめては」
「ええ。かけてみました。でも現在使われていないと返って来ました。解約されてるんです」
「ふーむ。何だか謎めいた話ですね。それで……それは、つまり陽一君の事故死と関係が」
「ええ。もしかして関係が有りはしないかと」
貴恵さんの話は事件性を……いや、その可能性を匂わせるものだ。
彼女は、陽一君の転落死が単なる事故死ではなくて、愛憎の絡む事件と考えているのだろうか?
僕は、その事を訊いてみた。
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