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「そうですか。そう言ってくれるのは嬉しいのですが、どこまで役に立てるか判りません。鍵の件は当たってみます。携帯の着信履歴の人物については何とも……。それと、陽一君がサークルの女性と付き合っていたか、それとなく仲間に訊いてみます」
「すみません。こんな面倒な事を……あらっ」
会話の途中で、幾人かの客が僕等のボックス席の脇へ移動して来た。
そこは店の隅、楽器の置いてある場所だ。
僕は、アイスクリームの溶けたコーヒーを飲みながら成り行きを見守った。
すると、それまで流れていたBGMが途絶え、スピーカーから案内があった。
『お待たせ致しました。金曜恒例の演奏タイムです。本日のプレイヤーは2組です。【青空コンチェリーノ】の皆さんとピアノ独奏の渋川さんです。先に青空コンチェリーノの演奏で……』
女主人がマイクを握っている。
店内は、いつの間にか満席になっていた。
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