着信履歴

6/11
前へ
/128ページ
次へ
「そうですか。そう言ってくれるのは嬉しいのですが、どこまで役に立てるか判りません。鍵の件は当たってみます。携帯の着信履歴の人物については何とも……。それと、陽一君がサークルの女性と付き合っていたか、それとなく仲間に訊いてみます」 「すみません。こんな面倒な事を……あらっ」 会話の途中で、幾人かの客が僕等のボックス席の脇へ移動して来た。 そこは店の隅、楽器の置いてある場所だ。 僕は、アイスクリームの溶けたコーヒーを飲みながら成り行きを見守った。 すると、それまで流れていたBGMが途絶え、スピーカーから案内があった。 『お待たせ致しました。金曜恒例の演奏タイムです。本日のプレイヤーは2組です。【青空コンチェリーノ】の皆さんとピアノ独奏の渋川さんです。先に青空コンチェリーノの演奏で……』 女主人がマイクを握っている。 店内は、いつの間にか満席になっていた。
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

83人が本棚に入れています
本棚に追加