夏日

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『お忙しいところをすみません。私、清田陽一の妹です。貴恵です』 「ああ、陽一君の。……たかえさん? そうですか。その節は、大変でしたね。皆さん落ち着かれましたか?」 『はい。お蔭様で。兄が色々と、お世話になりました』 清田陽一は趣味の演奏サークルの後輩だが、後に高校の母校が同じと知り、より親しくなった。彼は三歳下の後輩で、学生時代に顔を合わせることはなかったが、変わり者の教師等の話題で談笑できる間柄となり、時には居酒屋で相談に乗ることもあった。 『あの……突然ですみません。兄の事でちょっと気になってしまって。高村さんなら、ご存知かも知れないと思ったものですから』
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