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「わかりません」
さっきからこれしか言っていない。教師たちのため息が空気をさらに重くする。
学校は真帆を模した少女のプログラム『ミネルヴァの梟』に生徒数名の個人情報及び教員全員の個人情報や、学校運営に関わる情報を根こそぎ奪われた。
幸い彼女の目的はそれらではなく、学院は情報を盗まれはしたものの漏えいは『まだ』していなかった。
(というか、何かわかることは、とか聞く前にパソコンに向かわせてよ。こんなところで話していても何にもならない。そっちは何も教えてくれないし)
真帆は内心で毒づきながら、はやく自分も敵を探りたい欲求で体を揺すった。
どうして少女は真帆の姿を模したものなのか。なぜ欲しいものを直接言わないのか。
コンピュータ室を乗っ取ったやり方から見ても、相手は遊んでいるようにしか思えない。
「こら遠藤! やめろ!」
いきなり飛んできた怒声にびくっとして振り返ったが、誰も真帆の方を向いていなかった。
見ているのは扉の方で、つまり怒声は会議室の外からのものだった。
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