北の砦のお姫様

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眠気を誘うよく晴れた昼下がり、のどかな林道を行商の馬車の列がゆったりと進む。 「しっかしお嬢ちゃん、護衛をタダで引き受けるなんてどんな風の吹き回しだい?」 小太りの商人が荷馬車の後部に乗る人物に問いかける。 「ん、宮仕えですからあまり儲けに走るのも…。馬車代だと思って。」 応じたのは若い女だった。 年の頃は十代後半か、動きやすさを重視した軽量の甲冑と腰には女性が扱うにはかなり大振りな剣を差している。 背中の半ばまで伸びた髪は艶のある濃紺、同色の瞳を長い睫毛で縁取った顔は歳相応のあどけなさを残しながらも凛々しい印象を受ける。 すらりと無駄のない体型だが出るところは十二分に出ており年齢以上の色気がある。 全体的な印象としては『格好良い女性』といったところか。
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