北の砦のお姫様

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《我が劔の下に集うは真紅―――火焔の魔槍を放つ》 少女が詠唱した次の瞬間、眼前に魔方陣が浮かび上がりそこから三本の焔の矢が打ち出される。 目標に接触すると同時に爆発し、当たった二人が吹き飛ばされ倒れ伏す。 「最悪だ…魔術師かよ…」 運良く生き残った最後の一人が恐怖の表情で後ずさる。 「落ちている仲間を拾って去れ、直ぐ手当てすればまだ間に合うぞ。」 淡々とした表情で少女は言い放った。 ―――翌日―――― 「到着…ご主人、感謝する。」 「いやいやいや…感謝するのはこちらの方だよ。そういえばお嬢ちゃん、この先の国境の砦で働くんだよね?」 「えぇ、そうですが?」 きょとんとした様子の少女に対し商人が続ける。 「俺もこの街で暫く商売するから、必要なものがあれば来なさい、安くしとくよー。」 「是非立ち寄らせて貰います、それでは。」 「あぁ、そうだ。最後に名前を聞いていいかい?」 立ち去ろうとした少女は振り向き答えた。 「アリサ……アリサ・エレット」
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