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・二人称
小説においては、二人称は会話文にしかでない。
随筆においては、二人称とは読者への呼びかけである。
つまり、随筆における二人称とは、一人称複数形と近しい効果が得られる。
ただし、二人称での呼びかけはより直接的な共感の喚起であり、まとめや結論以外では使うべきではない。
最後に残したのは、短歌などの詩的表現である。
詩的表現の二人称にはバリエーションがある。
まずは、随筆と同じ読者への呼びかけである。
先程も述べた通り、直接的表現であり、間接的な表現が落ち着く詩的表現では直接的な呼びかけは浮いてしまうので注意。
次に、明確な「誰か」を想定した二人称である。
これは、恋愛詩や相聞歌などのみに見られる特殊例と言える。
なぜならば、二人称とは呼びかけであり、呼びかけの対象が明確なケースが限られるからである。
最後が、「誰か」が明確しない二人称である。
逆に、この使い方は詩的表現でしか有り得ない。
なぜならば、随筆などの散文では読者に対して明確に誤解なく伝えることが重要であり、他人称の対象を不明瞭にして誤解を招くなどは言語道断だからである。
しかしながら、詩的表現ではそれが許される。
人称の解釈も読者に委ねることで、誤解に寄る文意の拡大も狙えるのである。
よって、詩的表現においては二人称を敢えて明確化しないことで、呼びかけか相聞かわからなくしてしまうのである。
まさに、小手先だが意外とよく使う手法なので、明記しておく。
以上
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