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20XX年 夏
「はぁ、はぁ、ゥ、ゼェ」
もっと速く!もっと速く動け!俺の足!
延々と廊下を走り続け、とうとう身体も限界を迎えそうだ。見える景色はボロボロの教室や廊下、そして割られたガラスの数々。
この廃墟と化した学校に閉じ込められて早くも5日目だ。つい最近まで俺以外にも6人いた、少ししかいっしょにいなかったが、気が合ういい奴らだった気がする。
まぁ、もうそんなことはどうでもいいや。
そんなことを考えながらもまだ走るスピードを早めた。
まだ死ぬわけにはいかないんだ、、、そう思った瞬間、俺の足になにかがひっかかり俺は激しく転倒した。
「うおぁっ」
背中を激しくぶつけ、呼吸が苦しくなる。背中を抑えゆっくり立とうとすると、「ヤツ」が近づいてきていた。
「イヤだ、、、こんな所で、いやだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
どんなに叫ぼうと、俺の身体は動かない。どんなに叫ぼうと、「ヤツ」は歩むことをやめない。ニヤリと顔を歪ませながらかっちへ進んでくる。
せめて、最後に娘の顔が見たかった。
そんなことを考えていると、すでに目の前にヤツがいた。
そして、俺の視界は真っ暗になった。
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