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「・・・アイス」
「・・・は?」
俺が聞きなおすと、瑞希は少し怒った表情になった。
「アイス奢ってくれるなら許す!って言ってんの!」
あぁ、そういうことね・・・
こいつは昔から大の甘党で、少し機嫌損ねても甘いもんあげれば大抵機嫌は回復する。
「あ~、オッケ。んじゃ放課後な」
俺がそう言うと瑞希は満面の笑みで頷いて俺の机を後にして行った。
けっきょく話さねーで帰りやがった。よくわかんねー女。と考えていると、携帯が振動した。
ディスプレイには新着メール:1件と表示されていた。
なんだ?
まだ時間は1時だぞ、こんな真昼間からメールしてくるヤツなんていんのか?
ふと不思議に思い、慣れた手つきでメールフォルダを開く。メールフォルダはキレイにフォルダ分けされており、「友人」「家族」「メルマガ」と三つに分けてあった。いま届いたメールは、家族のBOXに入っていた。
From:母さん
本文
勉強しっかりやってる?
今日はお父さんが久々に秋也に稽古つけてやるって張り切ってるからなるべく早くかえってきてね!
それと、最近なんだか行方不明とか誘拐事件が多いらしいからちゃんと瑞希ちゃんのこと家まで送ってくように!頼むぞバカ息子!
ーENDー
と書かれていた。
真昼間から余計なお世話だっつの!今日は親父が稽古つけてくれんのか・・・久々だから楽しみだな。
俺の家では武術の道場を開いている。「村松勁真流」という名の流派だ。ガキのころから武術を教え込まれ、幼少時代からの夢だったサッカー選手を諦めるハメになってしまった。いまでは師範代にまで成長してしまったもんで、高校では帰宅部として大活躍中だ。
俺は瑞希とアイスを食べたあと親父と武術の稽古をすることがたのしみになり、テンションが上がってきた。
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