始まりだと思ったら勘違いでした。

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   笑い合う事数秒、よなかちゃんの頬が赤く染まるのが解った。 夕日のせいでも、走って来たせいでもない。 「あの……お手紙の事なんですが……」 「あ、あぁ……」  来た。 待ちに待っていたこの瞬間が…… 「わたしを……」  わたしを……お嫁さんにしてください!! よし、幸せへの道は開けた!! 恋人としての過程は飛んでいったけど彼女となら幸せな家庭が築け―― 「わたしをツンデレにしてください」  …………What? 「ごめん、よく聞こえなかった。 なんかインパクトの強い言葉が聞こえたんだが……」 「はい、それではもう一度だけ……」  こほんと可愛らしい咳払いを1つ。 一方の俺、ただひたすら間違いであって欲しいと願うばかり。 すれ違う2人の行方は…… 「わたしをツンデレにしてください」  見事にすれ違った。  ……ダメだ。 きっと俺は聴覚をやられてるんだ。 「あの、ツンデレって……あのツンデレ?」 「はい、多分そのツンデレです」 「そのツンデレって私と付き合ってって意味だったりしない?」 「違いますね。 そ、そういうの……わたしにはまだ早いと思うんです」  あぁ、そうですか。 可愛いなコンチクショー。  誰だよツンデレを私と付き合ってと同意語にしなかった奴は、金属バットの餌食にしてやろうか。 「そ、それで……あの……ダメ、ですか?」  やれやれ、さっきまでのドキドキはどこに行ったんだろう。 俺の幸せと一緒に飛んでいったのかな。  ……仕方ない。 ならば受け入れよう。 「俺なんかで良ければ……」  この狂った物語の主人公って奴を、な。 「十六夜さんを最強のツンデレにしてやるよ」 「はいっ!! ありがとうございま……え? 最強?」  うん、その方が面白そうだからね。  とりあえずツンデレ甲子園の優勝が目標だ。
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