ツンデレは1日にして成らず

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   不本意ながらも利江の後を追いかける形で教室へと向かう俺と十六夜さん。  今日が彼女の学園ツンデレ生活……  いや、なにか違う。  ツンデレ学園生活? なにその秘境、行ってみたい。  なんにせよ、ここから始まるのだ。  十六夜よなかツンデレ計画が…… 「――さん? 春日さん?」 「うん? あぁ、ごめん。 ちょっと考え事してた」  目の前を右に左に揺れ動く十六夜さんの可愛らしいお手手によって思考に傾いた意識が浮上した。  しかし、なんと可愛らしい動作だろう。 余った袖がえも言われぬプリティーさを醸し出している。 「十六夜さん、頼みがある」 「はい? なんですか?」 「もう一回やってくれ」 「……はい?」 「ほら、さっき俺を目覚めさせてくれたあのふりふりって」 「あ、えっと……こう、ですか?」  ふりふり。  うむ……プリティー。 「……よし、止め」 「はい。 あの……これが?」 「十六夜さんに残念なお知らせがある」  滲み出る涙を抑えつつ、断腸の思いで俺は言わねばならない。 「ツンデレっぽくないからそれ禁止ね」 「え? え?」  どうやら彼女も突然の事で困惑しているらしい、無理もない。 ならばこと細やかに説明しなければ――  とんとん。 「ん? 誰だよ、俺は今忙しいんだよ」  不意に肩を叩かれて、だるまさんが転んだのように振り返る。  そこには坊主頭の男子生徒が立っていた。  20人くらい。
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