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『はぁ…っ…はぁ…疲れた…』
俺は息を整えながらそう呟いた
ふと、さっき俺を見た青年を思い出す
整った顔に少し切れ目の瞳
髪は綺麗な黒で、いかにも“人間”という姿をしていた
『…俺が、何かしたってのかよ…俺達が…っ』
俺はそこまで言って口を閉じた
こんな事言っても何もなならないと感じたから
沈んでいた気持ちを振り払うように首を左右に振り俺は周りを見詰めた
『…いま、どの辺かな』
住みかからはかなり離れてしまっている
それだけは分かった
『…いっその事新しい住みかにしよーかな…』
だけど、皆と過ごしたほんの少しの時間があるあの住みかから離れる事に俺は躊躇った
『仕方ない…帰るか』
道などわかるはずもないが、やはり引っ越すなど出来ない
俺がそう言って足を踏み出した瞬間
「ほう、貴様には帰るか家があるのか…」
『っ!?』
その声は、間違いなくさっき俺を見つけた青年の声
俺はどうしようかと迷ったあげく、逃げようと足に力を入れたー…その瞬間、後ろでパンッという音と共に俺は意識を失った
「ー…逃がすものか」
そう呟いた
青年の声を聞きながら…
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