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「お前さ、どっかで会ったことない?」
同じ1年の男子、佐々木辰也が部活が終わった後のフリー時間に声をかけてきたのだ。
「え、あんたも!?」
実は辰也の顔を見たときから夕日は何処かでみた様な気がしていたのだ。まさか相手も同じように思っていたなんて思ってもなかった。
そのあと、しばらく二人で話が盛り上がった。
この日は夕日にとって朝から良いこと尽くめだった。
この二つ目の事件がこの後影のごとく永遠と引きずることになると、夕日は知らなかった。
(どこであったんだろう……)
夕日はあれから暇さえあれば辰也とどこであったのか考えるようになった。
段々焦れったくなってきて、そのことを双子の姉、幸(さち)に言ってみた。
「あんた馬鹿だねぇ。そんなの誰だって分かりそうなもんじゃん」
「分かってたら聞いてない」
「まぁね。」
少し幸は夕日から目を離し、隣で戯れてる子犬の海斗と子猫のミィシャを眺めた。
「だから、夕日はその辰也とかいうヤツにまんまと惚れ込んだんだよ」
「はぁ!?」
驚いた。そんな馬鹿な話があるか、あってたまるか!と夕日は心の中で叫んだ。
でもこの手の話では幸の方が経験は豊富なのだ。実際今だって幼なじみと付き合っている。しかも今年で4年目。信憑性は十分高かった。
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