恋ってやだね

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『惚れ込んだんだよ』 幸の言っていたことがぐるぐる頭の中を回る。 あたしは好きになったんだろうか。でも出会ってからそんなに経っていない。気移りが早すぎるんじゃないか? しかも考えれば考えるほどそうか好きになったのか、と納得してしまった。 (でも…じゃあ翔(かける)君は?あの子に1年半も片思いしておいて、もう移るの…?) そんな自分がとてつもなく軽い人間に見えてきた。 (もう翔君のことは好きじゃないのかなぁ。まさか又掛けとかしてないよね…?) 結局、この日はまともに寝付けなかった。 それからの部活はちょっと気まずくもあり、いつもより楽しみが増えてもいた。 (変なの、気持ちがふわふわする…身体が軽くなったみたい…) こんな気持ちになったことなどない。なんだか新鮮だった。 もう一つ変化があった。隣にいるだけで変にどきどきを感じていたはずの翔に対して、ないと言っても良いほどなにも感じなくなってしまっていた。 恋をしてーー世界がーー薔薇色にーー なんて聞いたことがあった。薔薇色かどうかは置いておいて、ともかく幸せだった。 大好きな部活に大好きな人がいる。 望んでもいない幸福だったーーのかもしれない。
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