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菜花は唇をキュッと結んで、我慢するようにプルプル震え、
「う……っ」
そのうめき声をきっかけに、盛大に泣きだした。
「う、うわぁーん!お姉ちゃんムカつくー!郁也のバカー!悔しいー!」
「な、菜花……」
そんなふうに同じ顔が泣くから、あたしも涙が止まらない。
「好きって言ったくせにー!今度会ったら10発殴ってやるー!うわぁあーん!」
子供みたいに泣く菜花を、あたしは抱き締める。
菜花が本音をぶつけてくれる。
無視をされるよりずっといい。
本当は、ずっと、こんなふうに誰かと抱き合って泣きたかったんだね。
あたしがそう思ってるように。
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