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「もう……っ、なんでお姉ちゃん好きになんの、バカバカバカバカ!ごめんねー!」
「菜花?」
“ごめんね”?
「嫌いじゃないもん。郁也なんかより、お姉ちゃんの方が好きだよ。っ……くやしい」
「菜花……」
周りは完全に引いていたけど、そんなことはどうでもいい。
「あたしも好きだよ、菜花」
好きだよ、もうひとりのあたし。
その日は、久しぶりに菜花と肩を並べて家に帰った。
おそろいの、腫れぼったいまぶたで。
玄関で迎えたママは、ふたり同時に頭を撫でてくれた。
「おかえりなさい」
あたしたちは顔を合わせて言う。
「ただいま」
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