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くしで髪をとかしながら、ドライヤーの風を当てていく。
明日は、またふたりで髪型を作り合って学校に行けるね。
久しぶりだから、何を話したらいいのか分からない。
ドライヤーの音で聞こえにくいし、ちょうどいいけど。
菜花のスウェットのポケットから、何かがごとんと音を立てて落ちた。
ケータイ?
あたしの部屋に来るだけなのに、ケータイ持ってきたのかな。
「菜花、落ちたよ」
ドライヤーのスイッチを一旦切って、ケータイを渡す。
「…………」
菜花は無言で受け取って、何度か操作して、あたしの手に乗せた。
「え?何で?」
「電話だよ」
「んん?」
鳴ったっけ?
そもそも、「電話だよ」って、これ菜花のなんだから、菜花に電話でしょ?
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