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「お姉ちゃんって、前からそうだよね。あたしが欲しいって言ったもの全部くれんの。なに?あたしって、全部譲らなきゃいけないくらい、そんなにかわいそうに見える?」
「違うよ!そんなこと!」
「じゃあ教えてよ!いつから好きなの!?」
「っ……!」
菜花の髪の毛から、小さなしずくがいくつも飛んで、床を水玉模様に濡らした。
あたしは、真っすぐ見つめてくる妹の瞳を、見つめ返した。
この瞳相手に、ごまかしなんてきかない。
「……ふたりが、付き合う前から」
菜花は少し目を見開いて、その後に睨んだ。
「やっぱり。お姉ちゃんのバカ」
「ごめん……」
「悪いと思うなら、これ!」
バーン!と、目の前に掲げられたのは、ケータイ。
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