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……女って怖いね。
こんなに可愛いのに男の為に変わるなんて、やっぱり私は恋人なんていらないかも。
友情より恋愛を優先する女にはなりたくないもん。
「リトリスくぅん、行きましょう?」
私に向ける低い声色とは全く違う甘ったるい声色でクロスの腕に抱きつくリリース先生。
別にぶりっ子でもいいとは思うけどね、天然作るとかは私は嫌いだけど。
「クロス、行ってらっしゃい」
クロスが何か言う前に私はクロスに言う。
正直クロスには申し訳ないけど私は恋愛に巻き込まれたくない、今更かもしれないし、私が最低な人間って事はわかってる。
「……わかった」
「あぁん、リトリスくぅん!」
クロスは捨てられた子犬のような瞳のままリリース先生の腕を離させて調理場から出て行った。
リリース先生は私を一度睨み付けてからクロスを追って行く。
一人になった調理場はシンっとしていて何の音もなかった。
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