返事がない、ただの卵のようだ。

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「よく見知った天井だ。」 俺はもはや見慣れた天井を五秒ほど見てから、ベッドから身を起こす。 そして着替え、パンを食べて、忘れ物がないかチェックする。 「今日から高校生、か……。」 そう、四月五日。 今日から俺は中学生から青春の高校生になるのだ!! 「さてっ!!行きますか!!!」 俺は入学式を余裕を持って迎えるために、早めの登校を開始し「あ、諌奈目 瑛斗さんですか?」 清々しい気分で自分しかいない一軒家の扉から飛び出た俺を迎えたのは一人の宅配会社の制服を着た男性だった。 「えー……と、」 「あ、スイマセン。 クロヒョウムサシの宅急便です。 諌奈目 瑛斗さんにお届け物です。」 そう言って目深に被ったクロヒョウムサシの宅急便の帽子のせいで顔がよく見えないながらも、俺と同じ藍色に近い黒髪の男が渡してきたのは、 「うぬぉ……!?」 人一人くらいなら楽々入れるであろう巨大且つ大重量の段ボール箱だった。 段ボールには『割れ物注意』と書かれている。 「重……い……。」 重すぎる。 どれくらい重いって気を抜いたら潰されてしまいそうな程。 「えー……じゃあ、判子押さないと……ってあれ?」 段ボール箱を渡した宅配員がいつの間にかいなくなっていた。
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