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しかし今弱ってる凉雪にこの空気は毒だよな……。
「気休めかもしれんがないよりはましだ。」
手持ちのハンカチを凉雪の鼻と口を覆うように当てておく。
「ゲホッ、ゴホッ。」
しかし凄い臭いだな……
「!……那韻、静かにこっちに来い!!」
「……キュー。」
那韻と岩陰に隠れた直後、
ズズン……ズズン……
そんじょそこいらの奴とは比べ物にならない大きさの虎
ズズン……ズズン……
の首を口で掴んで引きずっている鰐亀を巨大化させたみたいなのが俺達が直前までいた場所を通過した。
「………食物連鎖の関係がおかしいだろ。」
虎を食べる亀とか。
「確かここに呼ばれて四十分は経ったか……。」
タイムリミットはあと二十分。
「ゴホッ、詠唱を始める!!那韻は周りを警戒しててくれ。」
「キュキュー!!」
本の【女神の慈悲深き落涙】の詠唱が書かれたページを読み上げる。
「女神よ、世界を見守る聖なる母よ。
争いにより同胞を殺める愚かな我らに涙する女神よ。」
これで一行。
あと二十行はあるぞ。
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