最弱の偏見

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「汝が涙は血と悲しみによって枯渇した大地に潤いを与える。 絶望の底に枯れ果てた植ぶ……ゲホッ、ゴホッ…植物を希望と共に芽生えさせる。」 くそ、視界が霞んで文字が読みづらい。 「我ら愚かなる神の作りし土塊の移身(うつしみ)に慈悲の涙を流す女神よ。 汝が涙に我ら………ガホッ、ゲホッ!……汝が涙に我ら心を打たれ深く己が愚こ…ガハッ!?」 拳大の血の塊を吐いた。 ………よく分からんがここに居続けるのは危険みたいだな。 「己が愚行を深く恥じ入る。 うぐぅ……我ら……恥じ入った時、悲しみの涙…は、癒しの……慈悲、と、なり……ゴフッ!万物を癒す………ゲホッ、グブッ!?…波動と、輝きを、放つ。」 あと三行!! やはり何か有毒なガスでも漂っていたのか先程から吐血が止まらない。 ちゃっちゃと詠唱を終わらせてこっからおさらばしないとな。 「故に……女神の慈悲深き落涙得たくば…ゲホッ、ゴホッ汝自己の業を認め…よ…。」 二行。 「争いより勝ち取りし……勝利に、酔うことなかれ……ゲホッ。」 あと…一行。 「キュー!キュー!」 ここで那韻が突然こちらに飛んでくる。 「なん……」 言葉は続かなかった。
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