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「……………。」
先程の巨大鰐亀が血塗れの顔でこちらをじっと見つめていた。
冗談じゃねーぞ……
「汝、女神の慈悲に涙せよぉぉぉぉぉ!?」
最後の一行を詠唱し終わるのと、鰐亀が襲いかかってきたのはほぼ同時だった。
「うぉわぁぁぁぁ!?」
今まで自分がいた場所が発泡スチロールのように鰐亀の顎がむしり取った。
「ゲホッゲホッ、冗談じゃねぇぞオイ。」
命がけで【女神の慈悲深き落涙】を完成させたのに凉雪を助けないまま死ねるか。
「那韻、どーやら初陣はあの鰐亀らしいぞ。」
「キュキュ!!」
流石はドラゴンと言うべきか那韻はこの災害の谷でもあまりダメージはないらしい。
見た感じ凉雪もここではあまりダメージはないようなのでどうやら死にかけてるのは俺だけらしい。
「戦い方は把握してる……。」
倒す必要はない、あの鰐亀が俺達を追ってこれない状況にすれば良いだけだ。
「追装(クロス)、【炎の牙】!!」
「キュバァー!!!」
俺が【炎の牙】のカードを那韻に向けて名前を叫ぶと、那韻の口から、否、牙から炎が溢れだした。
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