最弱の偏見

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「那韻、狙うのは目だ。 一回の攻撃で両方潰すぞ。」 「キュー!!」 那韻は一声叫ぶと、口から炎を迸らせながら飛翔した。 「那韻!!しっかり加速しておけよ!!」 那韻が加速してくるまで…… 「ぐっ!!」 振り下ろされた鰐亀の前足を避ける。 俺はこの鰐亀から逃げ続けないといけない。 「ごほっ!!」 あー、そろそろヤバイな…… 「まぁでも……それが諦める理由にはならない!」 背中のぐったりした凉雪を背負い直して再び走り出す。 「げほがは!!」 再び吐血。 すでに真っ直ぐ走れないが、止まってるよりはマシだ。 「キュキュー!!」 はるか上空から那韻の声が聞こえる。 「行けぇ!那韻!!」 「キュキュキュキュ…………キュー!!」 上空から炎を口から出す那韻が急降下突撃する。 そして、 「オ゛ォ゛オ゛ゴァ゛ァ!?」 鰐亀の『左目』を牙で切り裂いた 「ヤベェ……。」 本来なら両目を潰すはずだったのに…… 「キュキュー……。」 那韻がこちらに力なく飛んでくる。 生後間もないんだ、無理もない。 「万事休す……か。」
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