最弱の偏見

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瑛斗が気絶してから二分程。 うじゅるり 瑛斗の背中側の裾から何かが這い出て来た。 現れたのは群青色のゲル状の何か。 大きさは三十㎝程。 ゲルはズルズルと地面を這って行くと、 べちゃっ!! 瑛斗の顔に勢い良く張り付いた。 「キュ、キュー!キュー!」 那韻がゲルに気づき、それに吠え掛かるも、那韻も災害の谷で体力を削られ、慈悲深き女神の落涙で回復したとはいえ、まだ動くことのできない那韻には吠えることしかできなかった。 那韻の決死の威嚇も虚しく、ゲルは瑛斗の顔に張り付いたままで…… と、ここでゲルに異変が。 カラーリングが最初の群青色から毒々しい紫色へと変わっていた。 そして、 きゅぽんっ! ゲルが瑛斗の顔から剥がれた。
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