最弱の偏見

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目覚めたらさっきまでの苦痛は嘘のように引いており、現在新たに俺を新たな激痛が襲っていた。 ………もう一度気絶してしまうか知れない。 「と、とりあえず退いてくれ……。」 「キュキュー。」 「だいじょぶ?えーともういたくない?」 「大丈夫だぞ凉雪、那韻も心配かけたな。」 「キュキュー!」 しかし……さっきまでの俺は結構なダメージを負っていたはずなのに……。 「術式は召喚士にも使えるのがあるって書いてあったし……。」 記憶にないだけで自分に使っていたのか? 「………うーむ、分からん。」 しかもそろそろ一時間経つじゃないか。 「術式しかできていないんだが……どうしよう。」 しょうがない、理事長には適当に言い訳しておこう。 「えーと、どーしたの?」 「あぁ、いや、そろそろお別れの時か「やっ!!」んだか……ってはい?」 「すぅもえーとについてく!」 はい!? 「いやでも、お前は里?の皆に認めてもらうためにここで頑張ってたんだろ?」 「うん!」 「じゃあ里に戻らないと。」 「えう……。」 耳と尻尾をしゅんとさせる凉雪。 「うん、まぁ元気でな。」 まぁ二度とディスペンサに来ないわけでもないし、と自分に言い聞かせて立ち去ろうと…… 「ひぐっ」 ひぐっ? 「ぐじゅっ……すぅ…すぅはぁ……えーとに…えーとに着いて……びぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」 泣いたーーーーーーー!? 「あぁあ、泣くなって!」 「ふぶぇぇぇぇぇ!ついてくついてくついてくぅぅぅ!!」 「だぁぁ!分かったか「ホントに!」 さっきまでの大泣きはどこへやら、瞳を輝かせてこちらに詰め寄る凉雪。 女って怖い。 「本当にいいのか?しばらく里のみんなには会えないかも知れないんだぞ?」 「でもすぅはえーとについてく!」 これはもう何を言っても聞いてくれなさそうだな………。
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