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あの時と同じく死にかけていた客人に自らの眷属の欠片を送り、その者は笑う。
「くかかか…実に楽しみだ……俺は待っているぞ?
諫奈目 瑛斗……俺の唯一の信奉者。」
災害の谷の最奥にて、その者の笑い声が響いていた。
「ん……戻ってきたのか?」
今、誰かに呼ばれていた気がしたんだが………気のせいか?
「おかえり瑛斗君。」
理事長が穏やかな笑みを浮かべながら俺を迎える。
ツァーラさんはどこかに行っているのかここにはいなかった。
「初めてのディスペンサの感想は?」
感想、か……
「貴重な経験でした、まる」
「じゃあ早速課題の結果を見せてもらおうかな?」
あー……。
俺はカードケースから凉雪のカードと【慈悲深き女神の落涙】のカードを出して……って、
「なんだこのカード。」
それには【小災害】という簡素な文字と群青色のスライムの絵が。
「どうしたんだい瑛斗君?」
「いや……身に覚えのないカードが……。」
とりあえず三枚のカードを理事長の机に並べた。
それらを覗き込んだ瞬間、理事長の動きが完全にフリーズした。
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