最弱の偏見

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「恐らくこのカード、いや彼のお陰だろうね。」 理事長が小災害のカードをこちらに見せる。 カードの中ではスライムがうにょぐにょ蠢いている。 「これはとあるモンスターの欠片だ、強力な毒素を持つが逆に毒素を吸い取ることもできるんだ。」 「その、欠片ってのは何なんですか?」 俺が理事長に問いを投げかけると、理事長は一瞬目を細めると厳かに話し出した。 「その小災害はかつて人類がディスペンサに新天地を求めて開拓に赴いた際、開拓団約3000人を五分で完全消滅させた大災害と呼ばれた超巨大規模のスライム、その一部だ。」 ほへー……… 「しかも大元の核の一部が入っている。」 「えと、ツァーラさん。 核が入っているとどうなるんでしょうか……。」 髪型をサイドテールにして首をドッキングしたツァーラさんが話し出す。 「ふむ、噛み砕いて話すとスライム種は皆体内に核を持っている。 分裂する際は核を新しく生成するのが通常だが、稀に特殊なパターンとして大元のスライムが自分の核の一部を元に分裂体の核を形成する場合があるのだ。 このパターンで作られた分身体は一様に強力な戦闘力を保有しているのだ。」 えーとつまりは、 「ものすごく強いスライムってことですね。」 「噛み砕いた話を更に噛み砕いたね……。」 理事長が苦笑しているがこれくらいわかりやすくしないと理解出来ないのだから仕方がない。
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