素人の意地

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現れたのは優しげな顔をした美女。 だがその背中には輝いているのかと錯覚するほどに純白の羽が。 「私の喚者、智天使ケルビム。」 譜楽が勢いよくごちゃ混ぜジュースを吹き出した。 そしてそれは近くを浮いていたケセラに降り注ぐ。 「うのぉぉぉぉ!?なんですかこれはー!?か、体が湿る!落ちまするー!!」 ケセラが絶叫しているが譜楽はそれに取り合わずケルビムだけを見る。 「ケルビムとはまさか天奏三天の一角か!?」 天……なに? よく分からないが凄いと言うことだけは理解できた。 「椎名様、私が呼ばれたわけは何なのでしょうか?」 「友人に紹介。」 御葛女さんがそう言った瞬間、ケルビムは一瞬驚いたような顔をすると、 泣き始めた。 えええええええ………!? 「どうしたの?」 「あ、いえ、何でもないですよ椎名様。 失礼、私は椎名様の喚者をさせていただいております智天使ケルビムと申します。」 「あ、えーと、諌奈目 瑛斗です。」 「庵楽 譜楽じゃ。」 涙を拭ったケルビムは一礼すると、 「お二人とも、これからも椎名様をよろしくお願いします。」 もう一度深く深く礼をしてカードの中に戻って行った。 「こんな感じ。」 「いやはや……珍しき物を見たわい、のうケセラ。 ………何をしとるのじゃケセラ?」 「うのぉぉぉ!お助けをぉぉぉ!?絞って!水を抜いてくだされぇぇぇ!?」 ケセラの叫びがようやく譜楽に届き、譜楽はケセラを握りつぶす。 「って!その方法でいいのか!?」 「む?雑巾のように絞ると千切れるからのー、この方法が一番手っ取り早いのじゃ。」
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