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この衝撃的な出会いから一時間。
強引に食堂へ引っ張られた僕と赤城は、大宮司と同じテーブルで定食を囲んだ。
彼のこういった積極的なところは見習いたい部分なのかもしれない。
赤城も最初こそ警戒していたものの、話していくうちに見た目ほど怖い人ではないことに気が付いたのか、徐々に打ち解けていく。
僕はすでに彼が不良ではないことを見抜いていたので、敬語も使わなくなっていた。
「それでアカシロ、お前下の名前は?」
日替わり丼に食らいついた大宮が、口のまわりにご飯粒をつけたまま言う。
「アカシロ?」
「アカギの間違いじゃないかな」
出会って数時間で、彼がどうやってこの大学に入学できたのかという疑問が頭から離れなくなった。
「アカギって読むのかそれ、アカシロかと思ってたわ」
何が面白いのか大声で笑う大宮に、僕は苦笑いしかできなかった。
「ちなみに俺、赤城洋平ね」
赤城はお茶を口に運びながらとりあえず付け足すようにそう伝えた。
「大宮は地元の人?」
僕は彼の『大宮』と言う名字がどうしても県外とは思えなくて、なんとなくそんな質問をしてみる。
だけど大宮は首を横に振った。
「いや、俺は勝浦」
「えっと」
「千葉だよ千葉」
大宮とは名前ばかりで、彼の出身地は千葉県。
数年後、この大学では『千葉出身の大宮』と言えば知らない人の方が少ないほどの有名人になるとは誰も予想だにしなかっただろう。
「ああ、千葉ね」
「ったく、田舎者はこれだから困るぜ。なあアカシロ」
「赤城だってば」
大宮の存在は、正直この大学生活を送る上で非常に大切な出逢いだったと思うんだ。
彼のおかげで赤城との距離も一気に縮まったし、また誰にでも簡単に話し掛ける大宮の側にいるだけで、色々な人と知り合えた。
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