ライズ・オブ・スターシップ

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   淡いネオンのようなガスの光輝が徐々に薄れてゆくと、宇宙はふたたび静寂な世界に戻っていた。それはまるで280名の命が失われたことなど、遠い過去であるかのように………。  巨大戦艦のブリッジでは大勢の、まるで豹の背中に腕が生えたようなガウラン人が静かにスクリーンを見つめていた。彼らは赤い皮膚にフィットしたボディースーツを着込み、後頭部から背中にかけて黒いたてがみが生えていた。  広いブリッジの片隅で、攻撃モニターを注視していたガウラン人のひとりが口を開く。  「目標の破壊を確認しました。傍受したメーデー信号に座標は含まれてません………作戦は完璧ですヌルグ艦長」  ブリッジの中央にある艦長席で、まるで抱き枕のようなシートに身体を置く老齢のガウラン人がニヤリとほくそ笑んだ。胴体だけで2m近くある身体は、他のガウラン人よりひとまわり大きい。  彼は長い口から噛み合わせのよい牙をのぞかせ、その悪意をあらわにする。  「うむ、よくやった。暗殺というのは手際よくなくてはいかん………なあリゴ?」  「まったくです」  艦長席のとなりで4本の脚を直立させた副長リゴが相づちをうつ。 .
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