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闇の中で一人の少年が立っている。
その少年が常人と異なっていたのは深紅の髪と眼。
見覚えのある顔に、黙ってその少年を見つめていると、真っ暗だった景色が一転した。
広い邸、その邸の中にある地下の一室で三歳くらいの小さな少年が泣いている。
父と母を呼びながら、体中を傷だらけにして。
毎日毎日、自分の持つ紅い髪を、紅い眼を厭われ、蔑まれる。
邸に住む者は皆少年を気味悪がり、少年の眼からどんどん光が消えていく。
一日一日、時が経つにつれ、年端のゆかない子どもの顔から笑顔が、泣き顔が、表情が消えていく。
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