紅い鬼

6/37
前へ
/80ページ
次へ
夜中に交わされた会話を、部屋の外でそっと聞いている少年の目はなにも写していなかった。 僕の目と髪は、どうして他の人と同じじゃないんだろう。 僕にはどうして他の人には見えないモノが見えるんだろう。 僕は…。 少し離れた空間で、俺がその様子を見ていると、目の前にいる少年がゆっくりとこちらを向く。 無表情ながらもどこか悲しげな視線が俺の目を捉える。 何かを諦めてしまっているような覇気のない瞳。 他人に何かを期待なんてしない。 他人に何も求めない。 自分に降りかかるモノをただ、受け入れるだけ。 まるで人形のようなこの少年は…俺だ。  
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加