紅い鬼

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昔から、普通の人には見えないモノが視えた。 それは世間で言う妖怪や、幽霊といったような存在。 自分の家系は古来より、そういった人外のものを祓ったり、封印したりすることを生業にしてきたという。 そのため、自分にもそのような力が備わっているらしい。 …望んだ訳では、ないというのに。 おかげで自然に自分と他人の間に壁を作ることが癖になってしまった。 親しくなれば、どうしても常人との違いが露見する。 数ヶ月前に越してきたこの街にも、友人と呼べる人間はいない。 「皇?どうした。なんか顔色も悪いけど。」 二人の内の一人が心配げに志貴に話しかける。 たしか八代…だっただろうか。 「あれ、ホントだ。ダメだぞ皇ー。 どうせ遅くまでゲームしてたんだろー。」  もう一人の方の、クラスのお調子者である坂井が志貴を茶化す。
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