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~ ~ ~ ~ ~
「パパー! 準備出来たよ~!」
「よし!じゃあ桃子はママと一緒に車で来いよ!」
「分かった~!」
俺は風太をタンデムシートに座らせ、本日の主役である永吉を呼ぶ。
「永吉~!」
のっそり起き上がった永吉は、ゆっくり俺の足元まで歩いて来ると、その大きな体に似合わない身軽さで、ショベルに跨がる俺の膝に飛び乗った。
そして、慣れた仕草で俺の革ジャンの懐に潜り込むと、襟元から顔だけをちょこんと出し、準備OKとばかりに、
「にゃぉ~ん!」
「ふーこぉ!
いつもの河川敷な!
もうシゲ達がバーベキューの準備を始めてるはずだから先に行くぜ!」
「ヒロさ~ん!
飛ばしちゃダメだよ~!」
バックミラー越しに、ふーこと桃子が手を振っているのが見えた。
「パパ! 大きくなったらこのショベル ボクにちょうだいね!」
「あぁ。風太が自分でエンジンをかけられるようになったらな!」
初夏の気持ちのいい風に、永吉が得意気にヒゲをなびかせている・・・
END
2012.7.7 HIRO
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