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俺は脇役。
朝起きて、朝飯食べて、学校行って、帰って、晩飯食べて、風呂入って、寝て、また朝起きて、
目立った活躍も出来ず、美味しい所はイケメン主人公が持って行く、そんな苦い人生を送っている。
「あ、寝癖」
「お兄ちゃん、私も髪の毛整えたいのだけど」
朝起きて着替えて顔洗って、髪型を整え、そして妹とかわるように洗面所を出る。
何時もの日常。
「秀介、寝癖がいっぱい」
いつも通り一つ上の姉が食事をしていた。俺はその前に座り、回りを確認する。
白を基調にしたリビングとキッチンが隣り合わせの一軒家。一階にはリビング、キッチン他に洗面所、風呂場、親の部屋がある。リビングはめちゃくちゃ広いわりには片付いていて広々としている。
「秀介、まだ頭ダメ?」
「姉さん、叩いて良い?」
「ね、ぼけっ」
少しだけ焦ったように姉が俺にそう言う。頭がダメ、と言われたら誰でも嫌な筈だ。
ただ家の姉は少しだけ表現に対しての欠陥があるから仕方のないことだ。
「ごめんね姉さん」
「ううん、大じょーぶ」
そうニッコリと姉は微笑む。
「母さーん飯ー」
「母さーん飯ーじゃない!!自分やりなさいよ」
キッチンの方から怒った声が聞こえてきた。
でも文句を言いながらもやってくれるのが家の母。
「もきゅもきゅ」
母さんが来るまで俺は姉を眺め続ける。ほんのりと姉の頬が染まってきた頃、
あれ?これからどうなるんだっけ?えっと、えっと……、
そうだ、俺はそのあと死んだんだ。
用事を思い出して、急いで家を出て、車に轢かれて。
じゃあ待てよ?これは走馬灯?にしては鮮明で、あれ?俺寝てる?地面の感触が背中から伝わってくる。
そうだ、起きなきゃ、起きなきゃダメだ。
ゆっくりと、俺は目を開けた。
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