旅路の女狐様

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 俺の言葉に対し、上谷さんは目をパチクリさせて小動物チック。  頭とか撫でても良いかな。 「ぇ……、そうなんですか」  素直に信じ過ぎだと思いました。 「そうなんだと、俺は思ってる。あと、今ので思ったんだけど……、未来予知ってもしかして、未来を見る事で変化する度合いが高い部分が、強調して見えるのかなって」  今度は頭の上に疑問符を浮かべられた。 「つまり、上谷さんの行動に影響を与えられていない『俺がエクイテスさんと戦う』という事は、見え辛かったんじゃないかなって」  疑惑の視線を向けられている気がする。 「文哉さん、私を責めない理由として言ってませんか?」 「半分くらいは、まあ」  意外な所で鋭さを発揮されたなー。 「けど、神が言ってたし。『変化を読み解く力』って。あれって、『本来の時の流れからの変化を』って意味にも取れる気がして」  微妙に不便な仕様になってる気がするけど、絶対に変えないといけない未来だけを厳選しているとも言える。  取捨選択を能力自体が行ってくれる訳だ。  あの神がやりそうな感じはする。 「五大会議での火の王とのやりとりを考えると、シンディア様はそれに気付いていてピンポイントな能力の使い方をしたんじゃないかとも思う。一点だけなら、変化も分かり易そうだから」  そうなってくると、もしかしてシンディア様は───。  ま、それは置いておくか。 「全部俺の推測だけどさ」  尊敬の眼差しが注がれてきている気がする。 「その推論、当たっている様な気がします!」  小さな子どもがテレビの中のヒーローを見ている感じ。  もう、目がキラッキラしてんの。 「今晩のご飯は何かなって思った時は、あんまり良く見えませんでしたから!」  何この子、可愛いんだけど。  抱き締めて良いかな。  しないけど。 「あ、でも、紅茶をお願いした時は、未来を視た時間ピッタリに持ってきてくれました。私から動いたから、視やすかったんでしょうか」  どうやら、俺の推測は遠くもないらしい。 「……やっぱり、神は俺と上谷さんをセットで動かそうとしてたらしい」  神の思惑通りに事が運ばれている感じで、不快だな。  上谷さんと一緒に行動する事そのものには、勿論文句も無いけど。
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