転生者

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 神に転生させられ、意識が途絶えた俺。  それから目を覚まし、最初に見た光景は─── 「───神殿?」  大理石の床に、規則的に並んだ純白の太い柱。  天井には神秘的な夜空が描かれ、奥に目を遣ると小さな滝の様なモノが見えた。 「おお、神の代行者よ!」  その声が聞こえた方、つまり手前に視線を向けてみる。  俺が立っている位置より随分低くなっているそこに居たのは、お爺さん。  ファンタジーの魔法使いが着ているローブを真っ白に染めて、金の装飾を施した様な。  兎に角、一目見ただけでも位が高そうだと思う格好だった。  そのお爺さんの周りにも、ざっと三十人くらいの人が居る。  つまるところ、今声を上げたお爺さんが中心に立っている訳だ。  確実に偉い人なんだろう。  そして俺、今気付いたけど土足で祭壇の上に立ってる。  冷や汗が一筋。 「───済みません、今すぐ退きます!」  慌てて祭壇から飛び降り、そして残ってしまった砂を払い除ける。  幾ら何でも、これは無いだろ!  この如何にも神聖な場所の祭壇を、土足で踏みつけるなんて!  一通り砂を払い終えた俺は、改めて俺を見る総勢三十名様に視線を送る。  睨まれてんのかな、これ。  凄く強い視線で、そのまま穴でも開きそうなんだけど。  主に胃とかに。 「えー、コホン。ようこそ、我が国ニルストへ。我々は転生者、『神の代行者』たる貴方様を、心より歓迎致します」  崩された調子を戻す様な咳払いの後、白いローブのお爺さんが恭(うやうや)しく頭を下げた。  それに続く様にして、他の皆さんも一斉に頭を下げる。  ……思考停止。  いやいや、止まるな。  動け俺の思考。  転生の施設がある事は、予想していたじゃないか。 「え、と……皆さん、顔を上げてください」  今は会話をして、情報を得たい。  そう思い、この発言。  すると、三十の顔が一斉に俺に向けられた。  少し怖いな。
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