終わりの始まり

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ある国があった。 治世二百年ともなる大国だ。 民は皆、穏やかな顔をして平和な暮らしをしている。 戦もない。 天災も、ここ数十年とない。 理想を現実にしたような、本当に平穏な国だった。 それも、今日まで。 この理想国家は崩れようとしていた。 終わりを告げる始まりは、ある二人が発端だった。 一人はこの大国の王。 賢く、優しく、慈悲深く。 その姿は、月の光が形となったのではと噂されるほどに美しい。 非の打ち所も無い人物。 一人は王の側近。 王と同じ日に生を受けた、瓜二つの姿をした弟君。
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