エピローグ

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「見えた。…もうすぐやってくる。」 銀髪で赤目の青年が言った。 そばにいた薄桃色の髪の背の小さな少女が振り返り尋ねた。 「何がやってくるのかしら?」 ここは薄暗い塔の中。 薄暗いが窓からは月の明かりが射しこみ青年の美しい銀髪を輝かせる。 「とてもおもしろい者だよ。」 青年はおもちゃを手に入れた少年のように微笑んだ。 小さな少女は首をかしげた。 『とてもおもしろいもの…?』 「あちらの世界からやってくるらしんだよ。彼が。」 「彼が!」 青年の言葉に少女は驚いてこたえた。 「そう。彼がやってくるんだよ。」 「それは楽しみだわ!」 少女は楽しそうに窓の外を見る。 夜風が少女の長い髪を揺らし、月に照らされた目は赤々と輝く。 「それはいつかしら?」 胸に抱えたうさぎのぬいぐるみを大切そうになでながら少女は問う。 そんな少女に青年は優しく手をさしだした。 「もうすぐだよ。今日は月が綺麗だ。 姫(プリンセス)、道化師(ピエロ)、魔術師に会いに行かないか?花束(ブーケ)?」 「あら、今日は外に出ていいの?」 少女は小さな白い手をさしだしながら不思議そうに問う。 「今日は月が綺麗だからね。」 少年は笑いながら少女の手をつかみ窓から飛び降りた。 月明かりに照らされながら二人は慣れたように夜空の上を歩いていた。 少女は微笑みながら言った。 「変なの。月が綺麗だったらいいの?」 「いいや。今日は特別だ。」 大と小の影は夜の闇へと消えていった。 
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