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静かになった。
僕は騒がしいのが好きではない。
でも静川や流夜といると自然と笑いたくなる。
「ねぇ。さっきの話の続き…ききたいな。」
隣で本を読んでいた琴宮が話しかけてきた。
彼女も騒がしいのが苦手そうなイメージがする。
「猫がいた。」
「どんな?」
絵本の続きが気になっている子供のように琴宮はたずねた。
「綺麗な虹色の目をした猫で僕と一緒に信号が青になるのを待っていたんだ!
それが人間みたいでおかしくて、おかしくて…それで、追いかけたら
何か始まるかな?平凡な毎日が変わるのかな?とか思っていたら
信号は青になっていて、猫はわたって行っちゃって僕はわたってなくて…」
「あはは!」
「!?」
驚いた。
笑うときはにこにこ笑うイメージの琴宮が声をだして笑うなんて…。やっぱり
「虹色の目の猫なんているわけないじゃん!」
とか言われるのだろうか…
「あはは。ごめん、ごめん。だって…おかしくてさ月本君が…あはは。」
「僕?」
「うん。だってさ大人っぽいイメージの月本君が何か起こらないかな?
とか思ってたとか信号わたりそびれたとか意外とロマンチスト
っていうかドジっていうか…あはは…でも…」
笑いながら話していた琴宮の顔がいきなり真剣になった。
「虹色の瞳の猫…ね。これから何かおこるよ。」
チャイムと同時に静かに言った。
このことが僕らの物語のはじまりだった。
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