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UAG本部に車で移動中、新太は6年前、十歳の時を思い出していた。
~6年前~
私は当時小学生で、そして迫る戦争に恐怖する人間だった。
当時の戦争は戦える者全てを投入する総力戦の時代であり、小学生である私達にも招集の声が掛かった。
だが、公に少年兵にする事は出来ない。
そこであえて小学校に声を掛けた。
私を含め皆は現状を理解できておらず、その場の空気に流され少年兵になった。
少年兵の訓練は非常に厳しかった…。
来る日も来る日も訓練漬け、失敗したら殴られる毎日だった。
だが、どうやら私には才能があるらしく、半年程経ち、私はトップクラスが集まった男女混合の少年兵の部隊に配属され隊長なった。
そんな時に彼女と出会った。
崎川・岬。
白い髪とオッドアイの少女だ。
初めの出会いは彼女の見た目をネタに苛められている所だった。
私はすかさず彼女を助けた。
それ以来彼女は私だけと接するようになった。
数週間後、私達の部隊は実験的にUAGの前身、生物兵器研究所に送られた。
ある時、私達は中東のある国に出兵していた。
指揮官は高城美雪だった。
「このまま直進よ。」
「危険です。敵の抵抗が非常に少ないのも気にかかります。
どうかお改めを。」
「何よ。指揮官である私に進言するつもり?
ふざけるんじゃないわ!!
抵抗が少ないのも私の優れた指揮のお陰なのよ。
意気地無しは邪魔よ!!」パンッ
乾いた音が辺りに響き、私の目の前で副官が息絶えた。
「こうなりたくなかったら、前進しなさい。」
私達はそれに従うしか無かった。
だが結局、副官の進言通り敵が襲撃。
突出していた私達の部隊は包囲された。
私はもう駄目かと思ったが運良く味方が救援に来てくれ、私と岬、それと僅かに残った仲間を助けてくれた。
高城美雪も生き残っていたが軍法会議で死刑になるだろう。
だが、死刑を宣告されたのは私だった。
副官殺しと軽率な行動が全て私の責任となってしまった。
無罪を唱えようとも轡を噛まされ何も言えなかった。
証人として現れた岬に私は希望を託した。
だが、岬は私を死刑に求刑した。
「今回の責任は全て新太君にあります。」
岬の言葉を聞き、私は何も信じられなくなった。
そして死刑直前の少しの隙を突き脱出した。
流石に無傷では行けず体に幾つかの傷を受けたが脱出に成功した。
だが出血が激しく倒れた私を助けてくれたのは藤旋軍元帥・近藤良太だった。
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